07.フィロソフィー

この活動の最大の特徴は、手順の最初に「躾(しつけ)」ではなく、「P:フィロソフィー(理念・職業目的)」を置いている点にあります。
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科学的P4S活動における「フィロソフィー(Philosophy)」の重要性と実践
 私たちはこれから、従来の5S活動を進化させた「科学的P4S活動」を推進します。この活動の最大の特徴は、手順の最初に「躾(しつけ)」ではなく、「P:フィロソフィー(理念・職業目的)」を置いている点にあります。
なぜ、整理や整頓の前に「哲学(フィロソフィー)」が必要なのか。その理由と実践方法について説明します。

1. なぜ「フィロソフィー」が必要なのか(必要性)
 従来の5S活動が多くの病院で長続きしなかったり、形骸化したりした原因は、職員の「やらされ感」にありました。これを克服し、自律的な活動として定着させるためにフィロソフィーが不可欠です。

① 「躾(しつけ)」から「自律(フィロソフィー)」への転換 従来の5Sでは、最後に「躾(Shitsuke)」が置かれ、「決められたことを守らせる」という上からの強制的なニュアンスが強くなりがちでした。専門職である医療従事者にとって、一方的な「躾」は「子供扱いされている」あるいは「やらされ仕事」という反発(心理的抵抗)を招く原因となっていました。 P4Sでは「躾」を廃止し、「フィロソフィー(P)」に置き換えます。これは、「上司に言われたからやる」のではなく、「自分たちの職業的使命(患者さんのため、安全のため)だからやる」という自律的な動機に基づいて行動するためです。

② 組織の目的と個人の目的の「一致(Win-Win)」 病院の目的(よい医療、安全な医療、よいサービス)と、私たち職員が医療職を選んだ動機(職業目的)は、本来同じはずです。 フィロソフィーを共有することで、この活動を「病院の利益のためのコストダウン」というネガティブなものではなく、「自分たちの理想の医療を実現し、自分たちの身を守るための環境づくり」であると再定義します。これにより、組織と個人がWin-Winの関係で活動できるようになります。

③ 判断の「よりどころ」となる 科学的P4Sでは、現場が自ら考えて行動することが求められます。その際、「面倒だから」や「昔からこうだから」ではなく、「それは患者さんの安全につながるか?」「私たちのミッションに合致するか?」というフィロソフィーを判断基準(ものさし)にすることで、迷いなく正しい改善ができるようになります。

2. フィロソフィーを浸透させる具体的な方法
 フィロソフィーは額縁に入れて飾るものではありません。以下の方法で、日々の活動に具体的に落とし込みます。

A. 「我々の約束(ミッション)」の言語化・共有 抽象的な病院理念だけでなく、自分たちの部署(チーム)における具体的な行動指針や価値観を言葉にします。

• 事例: 先行する慶友整形外科病院では、「慶友まごころフィロソフィー」として、「人として正しく生きる」「組織としてオンリーワンを目指す」といった価値観を冊子(手帳)にまとめ、全職員に配布・共有しています。
• 実践: 今回の活動では、「眼科としての約束」や「病棟のミッション」など、短いスローガンを作成し、「なぜこの活動をするのか」を明文化します。

B. トップによる「意義」の宣言 活動のスタート(キックオフ)において、病院長や統括責任者が、技術論の前に「なぜやるのか」を熱く語ります。

• 内容: 「赤字だから節約しろ」ではなく、「職員を事故から守り、患者さんに最高の医療を提供するために、この活動が必要だ」という想い(Warm Heart)を伝えます。トップが本気でコミットし、理念を語り続けることが、現場の安心感と持続力につながります。

C. 「科学的思考(Cool Head)」と「熱い心(Warm Heart)」の融合 フィロソフィー(熱い心)だけでは精神論に終わります。P4Sでは、フィロソフィーを土台にしつつ、具体的な手法は「科学(Science)」を用います。

• 実践:
1. P(Philosophy): 「患者さんの安全を守る」「働きやすい職場を作る」という目的(心)を共有する。
2. 4S(Science): その目的達成のために、精神論ではなく「ヒューマンファクター工学」や「認知心理学」を用いて、ミスが起きない配置や表示を設計する(頭脳)。
この「心(Why)」と「科学(How)」の両輪が揃って初めて、活動は成果を生みます。

結論:P4S活動の本質
 科学的P4S活動とは、単なる「お片付け」ではありません。 「フィロソフィー(P)」という「心」をベースに、「科学(S)」という「技術」を使って、私たち自身の働き方と職場環境を進化させるプロジェクトです。
 まずは、「私たちは何のためにここで働いているのか」という原点(フィロソフィー)を確認することから始めていきましょう。


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