11.清潔
整理・整頓・清掃の3Sを維持すること
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科学的P4S活動における「科学的清潔(Scientific Seiketsu)」の実践について
整理・整頓・清掃(3S)が完了した環境において、次に取り組むのが「科学的清潔」です。 科学的P4S活動において、清潔は単に「見た目がきれい」なことではありません。 「整理・整頓・清掃の3Sを維持すること」であり、さらに医療現場特有の「感染制御(Infection Control)」を科学的(医学・物理学・化学)に実践すること と定義します。
1. なぜ、「科学的清潔」が必要なのか(必要性)
他の産業と比較しても、医療現場において「清潔」は極めて重要です。以下の理由から、経験や感覚ではなく科学的根拠に基づいた管理が不可欠です。
① 感染制御の徹底(医学・物理学) 病院には細菌やウイルス、カビ等の微生物が存在します。これらが体内に侵入し増殖する「感染」を防ぐためには、手洗いや服装の清潔さはもちろん、環境表面の清潔維持が必須です。新型コロナウイルス対策などで明らかになったように、飛沫やエアロゾルといった物理的な粒子の動きを制御し、感染環境を作らないことが求められます。
② 食中毒の防止(化学・生物学) 病院給食や配膳において、免疫力の低下している患者さんを守るため、食中毒の原因となる細菌やウイルスの増殖を防ぐ必要があります。
③ 信頼性と快適性の向上(心理学) 清潔な環境は、患者さんに安心感を与え、病院への信頼性を高めます。また、職員にとっても働きやすい環境(気分の良さ)を提供し、モチベーションの向上につながります。
2. 実践のための「科学的アプローチ」
「汚れたらきれいにする」のではなく、以下の科学的な視点で「汚染させない・広げない」対策を行います。
視点1:予防清潔(汚さない工夫) 科学的清潔の究極の目標は、「清掃をしなくても清潔な状態を保つこと」です。
• 汚染の予測 : 作業を行う前に、「どこが汚れるか」をあらかじめ予測します。
• 発生源対策: 汚れることが分かっている場合は、作業前にシートを敷く、液ダレしない容器を使うなどして、周囲を汚さずに汚染物を回収する仕組みを作ります。
• 持ち込まない : 汚染区域と清潔区域を明確に区分(ゾーニング)し、汚染物質を持ち込まない手順を徹底します。
視点2:感染制御の「物理学的」アプローチ 感染対策を医学(ワクチンや治療)だけで捉えず、物理学・工学の視点で環境を制御します。
• 物理的遮断 : マスクやパーティションにより、ウイルスの含まれる飛沫の移動を物理的に遮断します。
• 濃度の制御(換気) : 換気を良くすることで、単位体積当たりのウイルス数を感染成立レベル以下に下げます。
• 接触の回避 : 濃厚接触や物の共用を避けることで、物理的な伝播経路を断ちます。
視点3:食中毒予防の3原則(細菌学) 食中毒を防ぐための科学的大原則を徹底します。
1. つけない : 調理場や食品の取り扱い場所の衛生管理を徹底し、細菌やウイルスを食品に混入させない。
2. 増やさない : 温度管理を徹底し、食品を長時間放置しないことで増殖条件を阻止する。
3. 殺す : 加熱処理や消毒により、病原体を死滅させる。
3. 科学的根拠に基づいた「具体的ルール」
清潔を維持(キープ)するために、以下のルールを標準化し、誰でも実行できるようにします。
① 手順の標準化と遵守 手洗いや消毒は、「やったつもり」では意味がありません。決められた手順(正しい手洗い方法、消毒液の使用量など)を科学的に正しい方法で遵守します。
② 3S(整理・整頓・清掃)の維持管理 一度きれいにした場所がリバウンドしないよう、以下のサイクルを回します。
• 定点撮影 : 定期的に現場の写真を撮り、活動直後のきれいな状態(基準)と比較して、乱れが生じていないかチェックします。
• チェックリストの活用 : 記憶に頼らず、清掃や点検が実施されたかを記録に残します。
③ 汚染が見える工夫 汚れや乱れにすぐに気づけるよう、環境を「見える化」します。例えば、床をピカピカに磨き上げることで、少しの汚れでも目立つようにし、早期の清掃を促すような構造や仕組みを取り入れます。
4. 科学的清潔のゴール
科学的清潔のゴールは、「いつ、誰が見ても、医療安全と感染防止が担保された状態が維持されていること」です。
清潔は、一部の職員の努力や我慢で保つものではありません。「汚さない仕組み(予防)」と「物理的な制御」を組み合わせ、組織全体で標準化されたレベルを維持していきましょう。