河野龍太郎

医療から学んだ手順書の形式

原子力発電プラントの手順書は医療を参考にして改良された!

エルゼビア・ジャパン株式会社が、セーフティプラスの活動の一つにブログを運営しています。先日、私がエッセイを書き、それが最近、公開されました。以下のURLにアクセスしてください。
「原子力発電プラントの手順書は医療を参考にして改良された!」
先日、私は手順書について、あるセミナーを受けました。
その中で、フローチャート式の手順書はダメだ、というような説明があり、ある病院の手順書を作成した人が事例を紹介していました。その講義の中の説明を聴いた限り、私の理解では「時代遅れですよ」というようなニュアンスがありました。ちょっと違和感を持ちました。
この話を、ある航空関係でヒューマンファクターの教育訓練に従事していた人にしたところ、その人も私と同じような違和感を持ったと言っていました。
図は、原子力発電所の兆候ベース手順書の体系です。実際の手順書はもっと具体的なのですが、フローチャート式の手順書になっているのです。私はシミュレータを使って、この手順書の有効性を実験で確かめる研究をしていました。ただ、私の実験の限界は、他の表記の手順書を実験していないことです。
私は、手順書にどの形式を用いるかは、どのような処理をしなければならないか、というタスクに依存していると思います。タスクによってはフローチャート式の方が分かりやすいこともあるのです。
ところで、兆候ベース手順は、徴候に対しての対応です。この考え方は医療から学びました。ただ、私が医療安全に従事するようになり、安易に徴候、すなわち、患者の特定のパラメータや主訴に対して、その本質的な原因を考えずに処方箋を出しているような場合も、案外多いのではないか、と考えています。
Created with