Oct 11 / KAWANO Ryutaro

第6回医療安全推進支援ZOOMミーティング 儲かる「科学的P4S活動」の勧め

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2023年10月11日水曜日、19時30分から定例の第6回医療安全推進支援ZOOMミーティングを開催しました。今回のテーマは以前から提案していた「科学的P4S活動」について約1時間の講義を行いました。
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赤字とは、「収入」ー「支出」=「収支」<0

当たり前の話ですが、赤字とは収入よりも支出が多いということです。これを解消するには「収入を増やし支出を減らせばいい」のですが、そう簡単にはいきません。
支出に着目すると、「支出を増やさない」という第一の対策は容易に思いつくことができます。
しかし、医療には「余計な支出」の可能性が非常に高いのです。
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赤字解消のための3つの提案

【講義内容】
医療機関経営状況調査によると、日本病院の赤字病院の割合が7割超え、補助金がなければ殆どの病院が赤字経営と報告されている。一般企業が赤字になった時の経営改革の方法は、(1)リストラ、(2)労働時間(残業時間)の削減、(3)給与カット、(4)福祉制度の見直し、(5)人事制度の見直し、そして(5)アウトソーシングなどある。しかし、医療でこれらの方法を実施しようとしても非常に難しい。まず、ほとんどの病院職員はフルに働いている。生産性の低い職員がいるので、この職員をリストラすると、いなくなった分の仕事をほかの職員がやらなければならず残った職員の負荷が増えることになる。生産性の低い職員がいることを理解しながら我慢して一緒に働かざるを得ない。給与をカットすると、優秀な職員から辞めるので、ますます生産性が低くなってしまう。残業時間を短縮しようとしても、もともと人が足りないのでこれも実行するのが困難である。さらに、働き方改革の実施があるので、一般企業の経営改革方法は難しく、病院の収支の改善は非常に困難である。
収支の改善のためには、(1)患者数を増やし、(2)1人の患者からの売り上げ(医療収入)を増やすことが考えられるが、両方とも言うのは簡単だが実行は非常に困難である。さらに医療には「余計な支出」の可能性が高い。たとえば、(1)医療事故、(2)患者トラブル、(3)職員のけがや病気、(4)自然災害、などである。病院では医療事故発生の可能性は非常に高い。なぜなら、医療は構造的な問題があり、作業環境をみるとエラー誘発要因が多く、また、エラーが発生したときにそれを阻止する防御壁が薄いからである。余計な支出があれば、病院はあっという間に赤字に転落する。さ
以上のように、病院の経営改革は非常に困難である。しかし、筆者は「医療には特有の特徴があり、これをうまく活用すればかなりの改善が期待できる」と考えている。3つの改善案を説明する。
第1の改善案は、産業界で広く取り入れられている、あるいは、先進的病院ではすでに取り入れられている5S活動である。この活動はすべての病院で取り入れるべき対策である。実際に効果が示されている。ただし、従来の5S活動には3つの問題がある。それらは(1)活動が継続しない、(2)科学的根拠が乏しい、(3)労力、手間、時間、コストがかかる、である。講義の中ではこれらの問題をどのように解決すればよいか、(1)と(2)の問題について筆者の経験をベースに説明する。
第2の改善案は、地域で取り組むことである。病院での5S活動の具体的やり方はほぼ同じである。そこで、地域で連合して作業を分担し、お互いに作業の成果物を交換することである。作業効率が向上する。また、相互訪問してよいところを学びあうと5S活動の質が向上する。医療安全に関する地域加算の可能性もある。
第3の提案は、地域の連合軍から全国の連合軍に規模を拡大して取り組むことである。医療の業務で特徴的なことは、北は北海道から南は沖縄までほぼ同じようにタスクが実行されていることである。5S活動には説明資料の作成、スケジュール表の作成、プロモーション活動、チェック項目の作成などがあるが、ほぼ同じである。そこで、これらの作業をアウトソーシングすると大幅な労力の削減と質の向上が期待できる。さらに、この考え方は5S活動だけでなく、患者説明資料の作成、教育用動画、作業手順なども同様に考えられる。この共同で医療の安全性、効率性の向上を目指して設立されたのが医療安全全国共同行動である。
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