2024年3月13日水曜日、19時30分から医療安全推進支援ZOOMミーティングを行いました。
今回は、「科学的P4S活動の勧め ~ 清掃と清潔 ~」について、約40分の講義をしました。
「なぜ、医療の専門家である私が医療行為でもない清掃行為をしなければならないのか」という意見がありますが、病院のすべてを清掃会社が担当することは不可能です。
さらに、清掃には単にきれいにするという目的の他に、観察は現実を理解することにつながり、現状の理解はリスクマネジメントの第一歩です。
観察の目的は、どこに、どのような汚れがあるのかを観察するため。例えば、病室では、
・ほこり 、体液が付着したもの、目には見えないウィルス
・MRSA(黄色ブドウ球菌)は、皮膚、鼻腔、咽頭や気管のほか、テーブルやシーツなどの環境中にも普通に存在存在しているという認識が重要です。
・どこにあるのかをよく理解する必要があります。
・部屋の片隅、テーブルの上、床の上などにはほこりが普通に落ちていると考えられます。
「部屋掃除には、まず窓を大きく開け、外の空気を取り入れる」
・このやり方を適用すれば、床の上に落ちた状態にあるほこり、ほこりに付着した病原菌やウィルス、アレルギー物質など、白いほこりが浮遊します。
・外から入ってきた空気(風)が床に落ちているほこりを舞いあげます。
・空中に浮遊し、それを室内にいる人間が吸い込んだり、体に付着させたりします。
・この状態を作ってはダメです。ほこりが床に定着している状態でほこりを吸いこむ、あるいは、雑巾などに付着させる方がいいと考えられます。
医療では、清潔は整理・整頓・清掃よりも非常に重要
医療者は常に清潔にしておかねばなりません。たとえば、手指衛生は基本的行動です。また、清潔な服装を常に身に付けなければなりません。手や衣服に付着した細菌やウイルスを拡散させてはなりせん。医療では、他の産業とは比較にならないくらい清潔は重要です。
例えば、ウイルスによる感染症を考えてみると、
(1)まず、体内に感染力のあるウイルスをもっている人の存在
(2)このウイルスが感染経路を通じて感染環境を作る
(3)人が感染環境にいれば感染の可能性。しかし、ウイルスが人の体内に入らなければ感染しない
(4)ウイルスが人の体に入っても免疫力の方が強ければ感染しない
のプロセスあり、(1)と(4)は医学の領域、(2)と(3)は物理学の領域と考えられます。
専門家が自分の専門領域での対策を担当することが最も効果が期待できると考えられます。