2024年7月24日、航空自衛隊航空安全管理隊主催の航空安全主務者研修会が開催されました。私は「航空におけるヒューマンファクター ~ ヒューマンエラーの基礎知識 ~」の演題で4時間の講義をしました。
今年1月2日に、羽田空港34R滑走路上で、海上保安庁のボンバルディア機と日本航空のエアバスA350が衝突し、海上保安庁機に乗っていた5名が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。まだ、事故調査報告書が公開されていませんが、私は元航空管制官の立場とヒューマンファクター工学の専門家、あるいは心理学者として、この事故を解説しました。
興味のある人は、このブログの「mSAFER分析手法は、羽田空港事故にも使えるか?」をご覧ください。
講義中に、参加している自衛隊機のパイロットと、パイロット側の立場で、お互いに自由に意見交換をすることができました。
私には、パイロット側からのコメントがとても参考になりました。
ヒューマンエラーを分析するときに重要なことは、「まちがった」という観点から分析するのではなく、当事者の立場で、どのような心理的空間に基づいて「正しい」と判断して行動したか、です。
私の分析では、羽田空港のタワー管制官、海上保安庁機のパイロット、そして日本航空機のパイロットの全員が、その行動の瞬間は正しいと判断して行動していた、と推測されるのです。