KAWANO Ryutaro

山口県看護協会主催 2022年度医療安全管理者養成研修

山口県看護協会主催の2022年度医療管理者養成研修が開催され、10月5日水曜日に講義を、翌日6日木曜日にヒューマンエラー事象分析手法であるImSAFER分析手法のBasicの分析実習を行いました。
受講者は非常に熱心で、1日目では現場で困っていることについての相談も複数ありました。本当にみなさんが熱心で、講義をする側も、つい、公の場ではあまり話さない私の本音の話をたくさんしてしまいました。
集合研修は、参加者と講義をする側が一体となって、現場の問題を本音で話をする絶好の機会だと思います。
コロナによる感染の影響を避けるために遠隔講義とならざるを得ず、また、医療従事者も忙しく、なかなかまとまった時間が取れない現状を考えるとオンデマンド型の講義は確かに便利です。しかし、そのために内容が教科書的なものになり、講義をする側も受講する側もあまり面白くないのではないかと思います。

集合研修の勧め

ZOOMやTeamsを使った遠隔講義にはいくつかのメリットがあります。
まず、(1)感染防止のために受講者や講師の接触を避けることができます。(2)移動の時間やそれに伴う交通費が必要ありません。さらに(3)自分の好きな時に好きな時間だけ受講することができます。
しかし、私は自分の経験から、集合研修によるメリットの方がはるかに大きいと思います。その最大のメリットは、当然ですが、その場で直接、講師と受講者が接することができる、ということです。講義をする側からすると、受講者の反応を直接肌で感じるのです。そのため、顔の表情から、「もう少しこの部分を詳しく説明した方がいいな」とか、「別な事例で説明したほうがいいな」と、その場で柔軟に対応することができるのです。さらに、その場で直接話をすることができるので、日頃感じていることを話すことができます。
今回の講義では、私の失敗した経験における人間関係の問題点についての話もしました。これは遠隔やオンデマンドの講義ではほぼ話せない内容でした。ただし、この本音の話も決して批判での話ではなく、受講者に、本当に理解してもらいたいと言う気持ちから自然に出てきたのです。
私が、今、目の前にいる受講者に本当に理解してもらいたい、と言う気持ちが湧き起こってきて自然にそうなってしまったのです。
また、受講者にとっても直接、質問することができます。休み時間を使って、あまり公にしたくない現場で実際に起こった困った問題についても話をすることができます。

実習による知識と技術の習得がお勧め

医療安全管理者養成研修は「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針カリキュラム」のガイドラインに基づいて作られています。その中には実習を取り入れることが示されています。ただし、どのような実習をやるべきかの明確なガイドラインは示されていません。
私は、医療安全管理者として必須の知識と技術がインシデントや医療事故が発生した時の「分析に関する知識と技術」だと確信しています。特に、行動分析が必要です。この行動分析の知識と技術の獲得には「実習による習得」が最もよいと考えています。
集合研修による直接の講義と分析実習の実施を強くお勧めします。
Created with